霊的体験「何も心配はいらぬ」

 《拾七》ハタと対のカードとして《弐拾》カモがある。古代京都の豪族には秦氏の他、賀茂建角身命(カモタケツヌミノミコト)を祖とする賀茂氏が知られる。神武天皇を先導した八咫烏と同一視され、上賀茂と下鴨の両社の祖神でもある。

 このカードは22枚のカードの中で、最も「あの世」的な静けさを感じさせる。天上から派遣された八咫烏を彷彿とさせる天上人が浮かぶ静かな泉に、蓮の花と番(つがい)の鴨。それは誕生を待つ者の住む世界のよう。池に刺さった丹塗りの矢は上賀茂神社の祭神、賀茂別雷大神(カモワケイカヅチノオオカミ)のシンボル。母神の玉依姫(タマヨリヒメ)が矢を枕元に突き立てて眠ったところ身籠ったとされることから、天上の神との交わりを暗喩する。つまり、別次元との融合による、全く新しい世界の現れを待つ状態を指す。深く沈潜し、変容を「直接」見ると…アダシノの不安の下で、あるいはイドの中で進行する真実の変容のようすが、ここに現れているのである。