劇的な変革、天啓

 武甕槌神(タケミカヅチノカミ)は、イザナギの「剣」についた血から生じたとされる剣の神。このことはイザナギの在る稲穂の宮で育ててきたものが一つの完了を迎え、新たなステージへと変化を遂げたことを告げている。過激なまでの劇的な変化。伝統や権威の失墜があるかもしれない。手放し難かった価値観や想いが崩されるかもしれない。それは、青く渦を巻く空で表されているように「晴天の霹靂」的な訪れ方をするかもしれない。雷=イカヅチが落ちるような。

 菅原道真は雷神と同一視され、彼を不遇に陥れたものを死後、雷を落として懲らしめたとされたが、シンボリズム的に解釈するなら、新しい時代に即さない古い秩序は破壊されると見るべきだろう。牛の角が生えた赤熊(しゃぐま)を被った男は、祇園祭で踊る‘棒振り’か、もしくは‘牛頭天王’を彷彿とさせる。厄神であると同時に厄を祓う力強い象徴。さらに、雷は天啓のシンボル。永い思索を喝破するごとくの偉大な閃きを予感させる。