毒と剣で現実を制する

 素戔嗚尊(スサノオノミコト)のヤマタノオロチ伝説のクライマックスシーンが描かれる。素戔鳴尊は八つの門の内側に置かれた八つの桶に強いお酒をたっぷり入れ、さまざまに策略を巡らせてオロチを迎え打つ。まんまと酔っ払い、首を落とされるオロチ。策略に長け、女性を手に入れる素戔鳴尊の物語は痛快で、事態の深刻さを吹き飛ばしてしまう。西洋タロットの『悪魔』に対応する《拾伍》オロチは、剣の宮において起こりがちな深刻さの打破を教え、強いお酒と策略の意味するところは、社会に出て遭遇する残酷さに対抗するためには、自身にも免疫となるような毒も必要だと伝える。剣を現実に即して使うとは、自らの中の毒も出していくこと。そうすることで、伝家の宝刀たる『草薙の剣』をオロチの尾より発見するに至る。つまり、毒を持って毒を制する軽やかさを王者の条件として身につけるのことを説いている。