妥協なき意識の深みと変容

 西洋タロットの『死』『死神』に相当するカード。それは、徹底した「変容」。おどろおどろしく見えるのは「死」にまつわる禁忌のイメージ。私たちは「死」を怖れる。自分の死、身近な人の死…持てるものを失うことを怖れる。このカードの指し示す死は、妥協のない意識の死。変容を迎えるとは、蝶が芋虫とさなぎの状態を経て誕生するように、一つの状態が完全に終わること。前の状態が消えようとする時の、その恐怖(のイメージ)が描かれている。それは妥協なく行われる。もしも、わずかでもその死に甘えがあれば、変容は失敗せざるを得ない。今望まれているのは、古い意識の死。完全なる移行、変容である。

 死神に吊るされている女性は、井戸に投げ捨てられなければならなかった。井戸は地底ですべてと共有している。死とつながる井戸にこそ、生の神秘がある。イドへの完全なる信頼が試される。怖れと共に井戸の深みに降りよ。本当に死ぬものは何か?そして、それでも死なないものは何か?